<ざっくり言うと>
  • 朝鮮総督府が作った「朝鮮語辞典」の中身は韓日辞典に過ぎず、「初めての朝鮮語辞典を作ったのは朝鮮総督府」という主張は間違いである。
  • ハングルの体系化の運動は日本統治以前から始まっており、現在のハングル表記の基礎になっているのは朝鮮語学会が作ったものであり、「総督府がハングルを体系化させた」という主張は嘘である。
  • 朝鮮語新聞の東亜日報や朝鮮日報は1940年に廃刊に追い込まれ、1942年には朝鮮語学会が解散させられている。
  • 「日本がハングルを広めた」という主張は、どの観点から見ても完全に間違いである。
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「ハングルは日本が広めてやったんだ」デマシリーズ
  1. 併合前のハングル事情
  2. 併合前と併合後の学校教育
  3. 辞書編纂と弾圧←イマココ
「ハングルは日本が広めてやったんだ」デマでよく言われることの人血が、「初めての朝鮮語辞典を作ったのは朝鮮総督府」「ハングルを体系化させたのは朝鮮総督府」という話です。例えば、『マンガ嫌韓流』ではこのように書かれています。

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今回はこの主張の嘘を見てみましょう。



1.日本が作ったのは朝鮮語辞典ではなく、韓日辞典


まず、「大正9年(1920年)に朝鮮語辞典を最初に作ったのも朝鮮総督府」というのは嘘です。この話はものすごく広まっていて、嫌韓じゃない人でも信じている人が多いと思いますが、1920年に朝鮮総督府が発行した『朝鮮語辞典』は、実際は韓日辞典なんです。中身を見てみると、朝鮮語の単語に、日本語で説明書きが書かれています。

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(↑1920年、朝鮮総督府発行の『朝鮮語辞典』。ハングルの見出しに日本語の説明)


つまり、こんなのは英和辞典みたいなもので、朝鮮人のための辞書などではないのです。こんなものなら、1880年の時点ですでにフランスが『韓仏辞典』を作っています。ちなみに、こちらの論文によれば、朝鮮語で書かれた最初の近代的な朝鮮語辞典は、沈宜麟が編纂した1925年の『普通学校朝鮮語辞典―附漢字字典』だそうです。朝鮮人のために朝鮮語で書かれた朝鮮語辞典は、総督府ではなく、朝鮮人が作ったものでした。


正書法については、最初のハングル正書法が作られたのは併合後の1912年の「普通学校用諺文綴字法」ではありますが、そもそも併合前の1907年に朝鮮政府は国語研究所を設置し、正書法づくりに着手していました。1912年の綴字法はそれを引き継いだものです。正書法完成前に日本が韓国を併合しただけであり、日本が正書法を作って朝鮮語を体系化させたわけじゃありません。


また、周時径という人物は併合前から「朝鮮文同式会」を作り朝鮮語表記の統一と研究に着手し、『国語文典音学』(1908),『国語文法』(1910)などを著しています。現在の韓国や北朝鮮のハングル表記は、彼が考案したものがもとに彼の弟子である朝鮮語学会が作り上げた「朝鮮語綴字法統一案」がもとなっています。この点でも、「日本が朝鮮語を体系化させた」「日本が文字を統一した」などと言うのは嘘だと言えます。


ついでに言っておきますけど、嫌韓流では「欧米列強の植民地では、植民地の住民に教育を施すことなどありえなかった」とか言ってますけど、大嘘ですからね。ベトナムでもフィリピンでもアルジェリアでも小学校や大学を建てて現地住民を教育していますし、イギリス植民地インドなんて、ノーベル賞受賞者を2人も出していますからね。フランスはベトナムでクォック・グーというベトナム語表記法を作り、現在ではそれがベトナム語表記として正式に採用されています。詳しくはこちら

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2.東亜日報・朝鮮日報の廃刊と朝鮮語学会事件


『マンガ嫌韓流』では全く触れられていませんが、1940年には東亜日報と朝鮮日報が強制的に廃刊に追い込まれます。これはどちらかというと朝鮮語弾圧と言うより言論弾圧だったとは思いますが、これで民間による朝鮮語新聞がなくなってしまいます。


そして、1942年には、前述の「朝鮮語綴字法統一案」を作ったり、機関紙『ハングル』を発刊するなどしていた「朝鮮語学会」が治安維持法により弾圧されます。『ブリタニカ国際大百科事典』では、以下のように説明されています。
 1942年朝鮮総督府による朝鮮語弾圧策の一つとして計画された事件。
 朝鮮語学会は「ハングル表記法統一案」を作成し,機関紙『ハングル』を発刊するなど,朝鮮語の啓蒙,普及活動を盛んに行なっていた。
 しかし,臨戦体制への移行が進むにつれ,朝鮮語使用に対する弾圧が強まった。 41年太平洋戦争の勃発を機に,弾圧は露骨になり,翌年 10月,治安維持法違反を理由に語学会員を大量検挙し,洪原警察署留置場に1年間留置し,咸興に護送した。拘束されていた約 30人のうち 13人が公判に付されたが,2人は公判中に拷問により獄死,11人の被告は2~6年の懲役という判決を受け,語学会は解散した
こういうことがありながら、あたかも日本のおかげで朝鮮語が発展したかのように言うのはご都合主義が過ぎるってもんです。


これらの事から、「ハングルは日本が広めてやったんだ」という主張は、どの観点から見てもデマだとはっきりと言うことができます。

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