<ざっくり言うと>
  • 「コンス」は奴隷や売春婦の仕草だというのは、「韓国人が悪意を持って日本に『コンス』を広めようとしている」という妄想を正当化するために生まれたデマ。
  • 韓国では「コンス」を教えている学校がいくつもある。奴隷や売春婦の仕草であるならば、それを先生がしたり子供に広めたりすることはない。

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ネットでは「肘を張って手を前で重ねる」仕草が「朝鮮式お辞儀・コンス」であるというデマが蔓延しています。これまで2回このデマを取り上げてきました。




もちろんデマなのですが、このデマを信じている人たちは、「コンス」は「『妓生(キーセン)』(「奴隷」「白丁」「奴婢」「売春婦」「風俗嬢」などバリエーションあり)のお辞儀」であり、それを日本に広めることで、「韓国人は日本人に奴婢・売春婦のお辞儀をさせてほくそえんでる」という風に思っているらしいのです。


「日本は韓国の文化侵略を受けている」ということにしたい彼らは、「日本人が韓国の真似をした」では都合が悪く、「韓国が日本を騙して変なお辞儀を押し付けてきた」ということにしたいわけです。しかし、「なんでそんなことをする?」という疑問が生じてしまうため、「『コンス』は奴隷のお辞儀で、それを日本人にさせて嘲笑っているのだ」という珍妙な説を言い出したのでしょう。


コンスデマが世間にばらまかれるきっかけとなった嫌韓サイトでも「キーセンのお辞儀」などと書かれています。しかし、その一方でコンスの例として韓国の女子高の卒業式の写真を用いています。

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これだと韓国は女子高の成人式で卒業生に奴婢・売春婦のお辞儀をさせているということになります。完全に矛盾していますね。


もう少し調べてみると、韓国の学校でコンス(拱手)の挨拶を教えているという記事がいくつか見つかりました。





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↓コンスで児童を出迎える校長先生。
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「韓国礼節教育院」というところがコンス(拱手)の挨拶を奨めているという記事もありました。



韓国礼節教育院というところがどういうものかわかりませんが、学校教育やその他の場面でコンスの挨拶が行われて、校長もコンスを行っているのですから、奴隷の挨拶だの売春婦の挨拶だの、まして「韓国人は日本人に奴隷の挨拶をさせて笑っている」だのは全て嘘だと断言できます。



「コンス=妓生」に全く何の根拠もなし


コンス 妓生」「コンス キーセン」「コンス 売春婦」「コンス 娼婦」「コンス 奴隷
お辞儀 妓生」「お辞儀 キーセン」「お辞儀 売春婦」「お辞儀 娼婦」「お辞儀 奴隷
の合計10パターンでツイッター検索してみたところ、最古のツイートはこれでした。

この「美味しいトマト」という人がなぜこんなことを言いだしたのか全く分かりません。もしかしたらこの前に2チャンネルか何かで書き込みがあったのかもしれませんが、言うまでもなく「キーセンが客を迎えるときのお辞儀」なんて事実は全く存在しません。しかし、この「妓生が客を迎えるときのお辞儀」というフレーズは独り歩きしていきます。


最初の「美味しい_とまと (@hirooono4033)」なる人物がどこから「キーセンが客を迎える時のお辞儀」なんて発想を得たのかはわかりません。しかし、はっきりと断言できることは、「コンスは妓生のお辞儀」というデマが広がっていく過程において一度たりとも情報ソースが示されなかったことです。


全員前の人が言ったデマを鵜呑み→拡散を繰り返しているだけで、「コンスは妓生のお辞儀」という根拠を示した人は誰一人どこにもいないのです。


日本で「コンス」が行われているというのも嘘だし、「コンス」が奴隷の仕草だと言うのも嘘です。どちらも一切何の根拠もない憶測から広まっていったものにすぎないのです。


次回は、「コンス」デマがどうやって始まったのかを見てみたいと思います。

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