<ざっくり言うと>
  • 韓国の性犯罪発生率は、ドイツやオーストリアと変わらず、フランスやカナダやイギリスよりも低い。
  • 日本とだけ比較した、「韓国は性犯罪大国だ!」と中傷するのはおかしい。
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ネットでは、やたらと韓国を性犯罪大国扱いしたがる人がいます。
しかし、実際の数値を見てみると、そんなことはないことが分かります。



韓国の性犯罪発生率は欧米先進国と同程度


国連のUNODC(United Nations Office on Drugs and Crimes)のホームページに、各国の性暴力(強姦や強制わいせつ)の数値が掲載されています。国の数が多すぎるので、OECD加盟国またはG20加盟国にのみ絞って抽出してみました。それが下の表です。(※このホームページに載っている中では最新である2016年と2017年の2年分です。2017年にはなぜか日本の数値が入っていませんでしたが、大体毎年同じぐらいだと思っていいと思います)

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グラフにすると、こんな感じです。

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小さくて見づらいですが、韓国の性犯罪の発生率は、日本よりは7~8倍高いものの、ドイツやオーストリアと同程度で、フランスより低く、カナダのおよそ半分で、イギリスの5分の1程度しかありません。


これで「韓国は性犯罪大国」だの「レイプが国技」だの言うのなら、欧米諸国に対しても同じことを言わねばならないはずです。韓国をターゲットにしている人たちが、自分たちの差別意識正当化に都合のいい数字を都合のいいように切り取っていることがはっきりわかります。



性犯罪の定義が国によって違う&泣き寝入りは把握できない


では、人口割の発生件数がトップであるイギリスやスウェーデンなどは、性犯罪が横行している犯罪大国なのでしょうか?


必ずしもそうとは言えません。まず、性犯罪の定義が国によって違うという問題もあります。国によって、夫婦間で強姦罪が成立したりしなかったりします。また、日本では、電車での痴漢行為などは、強制わいせつではなく迷惑防止条例違反となるため、上記の数字に含まれていません。痴漢は、東京都内で把握できているだけでも年間約2000件あります。他国で痴漢がどういう扱いを受けているのかまでは調べ切れませんでしたが、痴漢を性犯罪としてカウントした場合、日本の性犯罪件数は跳ね上がります。


また、性被害者の7割が泣き寝入りしているという推計もあります。さらに、日本では被害者に責任があるかのような認識を持つ者も少なくなく、勇気を出して被害届を出しても、警察が不受理にしてしまうこともあるようです。



上記の数値は、これはあくまで警察の認知件数であって、泣き寝入りなどは把握のしようがありません。むしろ、全体的な傾向として、スウェーデンのように男女平等ランキングで上位にある国はこの性犯罪のランキングでも上位に来ている傾向があるので、女性の権利が保障され、泣き寝入りする人が少ないから、このように数値が高く出ている可能性もあります。


データだけ見ると性暴力発生件数が多い国の方が、数値上性暴力が少ない国よりも実際の性暴力は少ないということは十分あり得ます。数値の上では日本の40倍ほど性暴力発生率の高いスウェーデンの方が、実際の性暴力は日本よりも少ないという可能性もあり、単純に比較することは不可能です。



韓国が性犯罪大国という根拠は全くない


いずれにせよ、韓国が性犯罪大国であるということを示すデータは存在しません。


この手の人たちは、日本と韓国だけを比較して、「日本の〇〇倍だ! 危険だ!」と言うことが多いですが、そんなことを言えば、日本の性犯罪率はインドネシアの2倍以上あります。インドネシア人に「日本人は危険だ! 性犯罪大国だ! 日本はレイプが国技だ!」と言われたらどう思いますか?


日本の治安の良さを誇ることはよいですが、他国を貶める根拠に使うのは間違っています。

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